包茎とは男性器の先端(亀頭)が包皮に覆われて露出しない状態のことを指します。
包茎にもいくつか種類があり、先端の包皮口が狭く包皮がめくれない状態のことを「真性包茎」、包皮をめくることができるが普段は包皮に覆われている状態のことを「仮性包茎」といいます。
青年期以降に包茎の治療に取り組むケースは少なくありませんが、はたして赤ちゃんの時期における包茎は治療したほうがよいのでしょうか?
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赤ちゃんの包茎って正常?異常?
結論からいうと、赤ちゃんの時点での包茎は極めて正常なことです。
この時期は男性器の先端(亀頭)と包皮が完全に分離せずにくっついているものなのです。
もちろん個人差はありますが、陰茎の成長に伴い、小学生から中学生になる頃には包皮をめくれる状態になる子供が少なくありません。
赤ちゃんの時期においては、包皮口を軽く根元に引っ張ったときに直径5mm程度の穴(出口)が見受けられれば、やがて自然に包皮をめくれる状態になるといわれています。
逆に男性器の先端(亀頭)が包皮に覆われていないのは、尿道下裂などの異常を疑う必要があります。
赤ちゃんの包茎の問題点・懸念点
とはいいつつ、赤ちゃんの時点での包茎にまったく心配がないわけではありません。
ここではおおきく分けて4つの問題点・懸念点をご説明します。
①恥垢(ちこう)
赤ちゃんの男性器をよくみると包皮に覆われた男性器の先端(亀頭)のあたりに黄色い皮脂のようなものが透けて見える場合があります。これは恥垢(ちこう)をいわれるものです。恥垢(ちこう)は新陳代謝の過程でできる垢で、これにより男性器の先端(亀頭)と包皮の分離が促されます。また、恥垢(ちこう)自体に細菌は含まれておらず、体への影響はありません。
②排尿時の飛散
包皮口が狭いため排尿時に包皮内に尿が溜まり、風船のように膨らんだり溜まった排尿が一気に噴出したりといったことがあります。飛散した尿の清掃などの手間が生じますが、包茎であることで排尿が不完全になるなどの身体への影響はありません。
③亀頭包皮炎
3歳くらいの赤ちゃんの包皮に覆われた男性器の先端部分(亀頭)が赤く腫れ上がるケースがあります。これは亀頭包皮炎という炎症をおこしている状態です。なにか重篤な病気では?と思われるかもしれませんが、抗菌薬の内服や塗付により短期的な症状で終わるケースが多いです。
④尿路感染
1歳未満の赤ちゃんに起こりうるもので、おしっこに細菌が入り腎臓や膀胱で炎症を起こすものです。ただしこれは衛生環境により引き起こされるケースが多く、清潔な衛生環境を心がけていれば防ぎやすいものです。また、1歳以上になった赤ちゃんにおける発生頻度は極めて低いといわれています。
このように赤ちゃんの時点での包茎が引き起こすいくつかの心配事はありますが、身体に重大な悪影響を及ぼす事象はほぼなく、特別な治療や手術による根治などは必要ないと考えられます。
親御さんがこどもの包茎治療を希望する場合と理由
上記のように、赤ちゃんの時点での包茎自体には特に問題はないと考えられます。ですが、幼児期後半(4歳~5歳程度)になった時点で、親御さんが包茎治療を考えはじめるケースがあります。
ひとつは、包皮口が広がらず排尿時の飛散が治まらない場合です。
幼稚園や保育園に通い始めるこの時期において、保母さんや先生の手間や施設の衛生環境への影響を考慮し、治療に取り組むケースがあるようです。
そしてもうひとつは亀頭包皮炎を繰り返す場合です。前述の通り亀頭包皮炎自体は重篤な病気ではなく、比較的簡単な治療で治るものですが、それを繰り返すことで親御さんが心配になり治療に取り組むケースがあります。
こどもの包茎の治療方法
こどもの包茎の治療方法にはおおきく分けて2つの方法があります。
①手術療法
ひとつは手術療法です。主流な手法は環状切除術というもので、男性器の先端(亀頭)を覆っている包皮を切除するというものです。手術自体は簡単なもので30分以内に終わりますが、こどもが怖がらないように全身麻酔をかけて行われるケースが多いです。
入院は必要なく、3日後にはお風呂にも入れますし、縫合糸は吸収性のあるものが使われるため抜糸の必要もありません。
②包皮ほんてん指導
そしてもうひとつは包皮ほんてん指導といわれるものです。これは包皮を男性器(陰茎)の根元のほうにひっぱりながら、包皮の先端にマイルドなステロイド軟膏を塗付するというものです。
1日に1~2回程度の塗付を2週間程度続けると包皮の先端が広がってきます。包皮が完全にむけるようになった場合には必ず包皮をもとに戻すようにしてください。むいた包皮を戻さないと皮膚がむくんで戻らなくなり、亀頭が締め付けられるかんとん包茎という状態になる場合があります。
まとめ
赤ちゃんの時点での包茎は身体的にはまったく問題なく、むしろきわめて正常な状態といえます。ですので、特別な治療はもちろん手術などを考える必要はまったくありません。
しかし幼児期後半以降には、本記事で述べたような理由で治療を検討されるケースもあります。その場合は親御さんだけで思い悩まず、ぜひクリニックや専門医に相談してみてください。豊富な知見に基づき、親身にアドバイスをしてくれるはずです。