根治的前立腺全摘除術後の勃起不全治療:全国保険請求データベースの分析(原題:Erectile Dysfunction Treatment Following Radical Cystoprostatectomy: Analysis of a Nationwide Insurance Claims Database)
The Journal of Sexual Medicine, 第14巻、第6号、2017年6月、810~817ページ、
公開日:2017年4月28日https://academic.oup.com/jsm/article-abstract/14/6/810/6973515?redirectedFrom=fulltext
Contents
はじめに
根治的前立腺全摘除術(RCP)後の患者ケアを改善するには、性機能などのサバイバーシップの問題に焦点を当てる必要がある。これまでの研究では、RCP後の勃起不全(ED)の負担は89%にも上ることが示されている。
目的
膀胱がん患者に対する根治的前立腺全摘除術(RCP)の前後における勃起不全(ED)治療の利用率(ホスホジエステラーゼ5阻害薬、注射療法、尿道坐薬、真空勃起装置、陰茎プロテーゼ)を調査し、現在の治療パターンをより深く理解すること。
方法
RCPを受けた膀胱がん患者はMarketScanデータベース(2010年~2014年)で特定された。救急外来治療の利用は、ベースライン(RCP前の1年間)とRCP後の6か月間隔(0~6、7~12、13~18、19~24か月)で評価された。多変量ロジスティック回帰モデルを用いて、RCP後の6か月ごとの救急外来治療利用の予測因子を特定した。
結果
RCP後の0~6、7~12、13~18、19~24か月の追跡調査における救急外来治療率と救急外来治療の予測因子。
結果
ベースラインでは、患者の6.5%(1,176人中77人)がED治療を受けていた。RCP後0~6、7~12、13~18、19~24ヶ月のED治療利用率はそれぞれ15.2%、12.7%、8.1%、10.1%であった。いずれの時点においても、ホスホジエステラーゼ5阻害薬が最も一般的に使用されていた治療薬であった。多変量モデルでは、RCP後0~6ヵ月におけるED治療の使用予測因子は、50歳未満(オッズ比[OR] = 3.17、95% CI = 1.68–6.01)、ベースラインでのED治療の使用(OR = 5.75、95% CI = 3.08–10.72)、術前化学療法(OR = 1.72、95% CI = 1.13–2.61)、および新膀胱への尿路変更(OR = 2.40、95% CI = 1.56–3.70)。ベースラインの救急外来治療の利用は、RCP後6~12ヶ月(OR = 5.63、95% CI = 2.42–13.10)および13~18ヶ月(OR = 8.99、95% CI = 3.05–26.51)の救急外来治療の利用と引き続き関連していた。
臨床的意義
RCP後のEDの負担が大きいことが知られている一方で、ED治療率は全体的に低い。これらの知見は、RCP患者にとってED治療の優先順位が低いか、あるいはED治療の可能性に関する教育がRCP後の患者と一般的に話し合われていないことを示唆している。泌尿器科医は、RCP患者と性機能についてより頻繁に話し合うことを検討すべきである。
長所と限界
長所としては、全国的な請求データベースを使用しているため、経時的な追跡調査や処方薬および医療機器に関する詳細な情報を得ることができる。限界としては、病理学的および腫瘍学的結果データの不足が挙げられる。
結論
RCP後のED治療の利用は極めて低い。RCP後のED治療利用の最も強い予測因子は、ベースライン治療の利用であった。これらの知見は、RCP患者にとってED治療の優先順位が低いことを示唆しており、また、RCP後の患者に対してED治療の可能性に関する教育が一般的に行われていない可能性があることを示唆している。泌尿器科医は、RCPを受ける患者と性的機能についてより頻繁に話し合うことを検討すべきである。