長尾浩一医学博士, 小林秀行医学博士, 藤川慶太医学博士, 立花隆医学博士, 岩本泰彦医学博士, 石井信久医学博士, Paul J. Turek医学博士, William O. Brant医学博士, 上殿貞夫医学博士
The Journal of Sexual Medicine, Volume 6, Issue 10, October 2009, ページ 2851-2857, https://doi.org/10.1111/j.1743-6109.2009.01439.x
発行:2009年10月1日
Contents
はじめに
バルデナフィルは、投与後15分という早い時期から性交を試みた勃起不全(ED)患者において、プラセボと比較して性交完了に十分な勃起の維持(SEP-3)の成功率を改善することが報告されている。しかし、これらのデータは一般的なED患者を対象としたものであり、投与から性交開始までの時間を用いている。糖尿病(DM)患者など、投与から腟内挿入までの時間が長く、治療が困難なED患者にこの結果を適用できるかどうかは不明である。
目的
バルデナフィルによる性行為の早期開始が、糖尿病を有するED患者においても達成可能かどうかを検討すること。
方法
EDおよびDMを有する日本人男性を対象とした12週間の第III相臨床試験(無作為化、プラセボ対照、二重盲検、並行群間比較)のデータを解析に用いた。この試験では、患者はバルデナフィル10mg、20mg、またはプラセボを投与され、投与1時間後に性行為を開始するよう指示された。患者日誌の質問に基づく患者ごとの平均SEP-3成功率(intent-to-treat;ITT集団)は、投与から挿入までの時間によって算出された。プラセボに対する差の最小二乗平均値および名目P値は、ベースラインの項を用いた共分散分析により導出した。
主要評価項目
各時間間隔におけるSEP-3の成功率。
結果
挿入の大半は投与後60~90分の間に行われたが、52例の挿入のうち100例は最初の30分間に行われた。0~15分(P = 0.0268)、15~30分(P = 0.0094)、120分超の各インターバルで挿入した患者のSEP-3成功率は、バルデナフィル投与患者のほうがプラセボ投与患者よりもすべて高かった。
結論
このレトロスペクティブ分析では、治療困難なED患者においても急速な活動開始が示された。バルデナフィルは、日本人DM患者において、投与後早ければ15分から120分以上挿入した場合、プラセボと比較して性交成功率を改善した。