放射線誘発勃起不全ラットモデルにおける酸化ストレスの役割 (原題:Role of Oxidative Stress in a Rat Model of Radiation-Induced Erectile Dysfunction)
木村正樹医学博士、Zahid N. Rabbani医学博士、Andrew R. Zodda理学修士、Hui Yan医学博士、Isabel L. Jackson理学士、Thomas J. Polascik医学博士、Craig F. Donatucci医学博士、Judd W. Moul医学博士、Zeljko Vujaskovic医学博士、Bridget F. Koontz医学博士
ジャーナル・オブ・セクシュアル・メディシン、第9巻、第6号、2012年6月、1535-1549ページ、https://doi.org/10.1111/j.1743-6109.2012.02716.x
発行:2012年6月1日
Contents
はじめに
慢性酸化ストレスは放射線誘発正常組織傷害に重要な役割を果たす主要因子の一つである。しかし、放射線誘発勃起不全(ED)における酸化ストレスの役割については十分に検討されていない。
目的
放射線誘発EDモデルラットにおける前立腺限局照射後の酸化ストレスの役割を調べること。
方法
54匹の若い成体雄性ラット(10-12週齢)を、年齢をマッチさせた偽放射線治療(RT)群とRT群に分けた。照射動物には、前立腺に限局した放射線を20Gyの単回分割で照射した。
主要評価項目
海綿体神経電気刺激による海綿体内圧(ICP)測定をRT後2、4、9週目に実施した。ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)酸化酵素サブユニット(Nox4およびgp91phox)の蛋白発現、酸化的DNA損傷のマーカー(8-ヒドロキシ-2′-デオキシグアノシン[8-OHdG])、脂質過酸化(4-ヒドロキシノネナール[4HNE])、 および誘導性一酸化窒素合成酵素、マクロファージ活性化(ED-1)、ニトロチロシンなどの炎症反応、および核内因子赤血球2関連因子(Nrf2)による内因性抗酸化防御を、照射前立腺組織および海綿体(CC)において評価した。さらに、ICP/平均動脈圧(MAP)比の結果と酸化ストレスマーカーの発現レベルとの関係を調べた。
結果
RT群では、血行動態機能研究により、ICPの有意な時間依存的低下が示された。Nox4、gp91phox、8-OHdG、4HNEの発現増加がRT後の前立腺とCCで観察された。同様に、炎症マーカーの発現も有意に増加した。4週間後にはNrf2の増加傾向が見られた。ICP/MAP比は酸化マーカーの発現レベルの上昇と負の相関を示した。
結論
NADPHオキシダーゼの活性化と慢性酸化ストレスが照射前立腺組織とCCで観察され、これはICP/MAP比の低下と相関していた。持続的な炎症反応も両組織で認められた。これらの所見は、酸化ストレスが放射線誘発性EDの発症に重要な役割を果たしていることを示唆している。