シルデナフィルの慢性投与は糖尿病性勃起不全ラットにおけるVEGF系の障害を改善し、勃起機能を改善した (原題:Chronic Administration of Sildenafil Modified the Impaired VEGF System and Improved the Erectile Function in Rats with Diabetic Erectile Dysfunction)
劉桂華(医学博士)、孫向州(医学博士)、戴玉萍(医学博士)、鄭福福(医学博士)、王大虎(医学博士)、黄延平(医学博士)、卞俊(医学博士)、鄧春華(医学博士)
The Journal of Sexual Medicine, 第7巻, 第12号, 2010年12月, ページ 3868-3878, https://doi.org/10.1111/j.1743-6109.2010.01844.x
発行:2010年12月1日
Contents
はじめに
男性は、内皮機能障害の結果として糖尿病性勃起障害(DMED)を発症することが多い。DMED患者はホスホジエステラーゼ5型阻害薬による治療効果がしばしば低下する。
目的
シルデナフィルの慢性投与により、糖尿病性勃起不全ラットの血管内皮増殖因子(VEGF)系の障害を改善し、勃起機能を改善できるかどうかを検討する。
方法
DMEDを有するSprague Dawleyラット群(n=30)をストレプトゾトシン(40mg/kg)の腹腔内注射により誘導し、アポモルヒネ(100mg/kg)の皮下注射によりスクリーニングした。その後、ビヒクルまたはシルデナフィル(当院で処方、それぞれ5mg/kgおよび10mg/kg)を10週間投与した。さらに、非糖尿病で年齢をマッチさせた対照群(n=10)も割り付け、同じ期間、日常食を与えた。両群ともシルデナフィルの最終投与から36時間後に評価を行った。陰茎海綿体内圧(ICP)、平均動脈圧(MAP)、陰茎組織形態、免疫組織学的分析、およびVEGF、VEGFR1、eNOSのウェスタンブロット分析を行った。
主要評価項目
シルデナフィル慢性投与(それぞれ5mg/kgおよび10mg/kg)による陰茎構造の機能的、形態学的およびプロテオミクス的変化を測定した。
結果
シルデナフィルを投与しなかったDMEDラットに比べ、シルデナフィルを投与した両群(それぞれ5mg/kgおよび10mg/kg)では、ICP、ICP/MAP比、曲線下面積の有意な増加が観察された。その陰茎組織の免疫組織化学的染色では、対照群ではVEGF、VEGFR1、eNOSの染色が減少し、シルデナフィル慢性投与群では改善した。ウェスタンブロット分析でもまったく同じ結果が示された。
結論
我々は、シルデナフィルを毎日投与することにより、DMEDラットの陰茎において障害されたVEGF系を回復させることができ、勃起機能と内皮機能の両方を徐々に改善させることができることを証明し、VEGF/eNOSシグナル伝達カスケードを介したシグナル伝達の改善という一般的なメカニズムの可能性を示唆した。