プラセボを投与された勃起不全男性における勃起機能正常化の予測因子 (原題:Predictors of Erectile Function Normalization in Men With Erectile Dysfunction Treated With Placebo)
ジョン・P・マルホール(MD)、マーティン・カールソン(MS)、ヴェラ・ステッチャー(PhD)、リジョン・ツェン(PhD
The Journal of Sexual Medicine, 第15巻, 第6号, 2018年6月, ページ866-872, https://doi.org/10.1016/j.jsxm.2018.03.089
公開:2018年05月09日 記事履歴
Contents
背景
シルデナフィルは勃起不全(ED)の男性において性機能を改善することが臨床試験および診療データから示されている。しかしながら、二重盲検プラセボ対照シルデナフィル試験において、プラセボで治療された男性の中にも、国際勃起機能指数(IIEF)-勃起機能ドメイン(EFD)スコアで測定される勃起機能の改善を報告する者がいる。
目的
この解析では、フレキシブル用量シルデナフィル試験においてプラセボを投与されたED男性において、ベースライン後のIIEF-EFDスコアと併存疾患を含む人口統計学的変数との関係を推定した。
方法
42件の二重盲検プラセボ対照フレキシブル用量シルデナフィル試験のintent-to-treat集団におけるプラセボ投与参加者を対象とした。参加者は、最終来院時にIIEF-EFDスコアが26以上であった場合にプラセボ反応者と分類された。
アウトカム
評価変数は、年齢(45歳未満、45~64歳、65歳以上)、人種、肥満度、併存疾患(心血管疾患/高血圧、糖尿病、うつ病)、最終投与日、試験終了日、ED病因(心因性、器質性、混合性)、喫煙歴、ED期間、ベースラインのIIEF-EFDスコア(10点以下、11~16点、17点以上)、治療期間であった。ステップワイズ多変量ロジスティック回帰モデルにより、各変数について反応者と非反応者のオッズを評価した。
結果
合計4,360人の男性が対象であった;13.5%が反応者であった。オッズ推定では、黒人(オッズ=20.2、P<0.0001)、45歳未満(オッズ=7.3、P<0.0001)、軽度ED(ベースラインIIEF-EFD≧17;オッズ>100、P<0.0001)、糖尿病でない男性(オッズ=4.5、P<0.0001)でプラセボ反応の可能性が最も高かった。プラセボ反応の可能性は、EDの期間が長くなるにつれて減少した(オッズ=0.74、P < 0.0001)。一般的な有害事象の頻度は、プラセボ反応者と非反応者で同様であった。
臨床的意義
これらの知見は、シルデナフィルの臨床試験におけるプラセボ反応の予測因子の理解向上に寄与するものである。これらの因子の解明は、さらなる介入および治療戦略の開発、ならびに臨床試験のベストプラクティスに貢献する可能性がある。
長所と結論
この解析の長所には、母集団が大きく多様であること、追跡期間が長いことなどがある。限界としては、レトロスペクティブな解析に関連するもの、および他の人口統計学的因子がどの程度プラセボ反応に寄与しているか、あるいはこれらのプラセボ反応がEDの自然経過とどのように関連しているかを確認できないことが挙げられる。
結論
EDを対象としたシルデナフィルの臨床試験において、特定の人口統計学的因子、併存疾患、および病態の特徴がプラセボ反応の確率を予測した。プラセボ反応の背後にある根本的な理由については、さらなる評価が必要である。