公開日:2021/03/16
最終更新日:2021/03/16

【医師監修】性病は治る!感染症別の症状と治療法を紹介

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大宮ノワールクリニック監修:成田 学史

1987年生まれ 北海道釧路市出身
2006年(平成18年) 北海道札幌南高校卒業
2014年(平成26年) 北海道大学医学部医学科卒業
2014~2016年(平成26~28年) 北海道がんセンターで勤務
2016~2018年(平成28~30年) 医療法人メディシェア イデア美容皮膚科勤務
2018年(平成30年) ノワール大宮クリニック 開設

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性病は治る!感染症別の症状と治療法を紹介

「性病になったかも」と思っても、恥ずかしさから治療や検査をためらう人は少なくありません。しかし多くの性病は、放置していても自然治癒することはありません。このため、速やかに適切な治療を受けることが自分やパートナーを守るために非常に重要です。

現代の医療技術の進歩により、性病は治る病気になりつつあります。発症後も適切な受診と治療によって、元通りの生活に戻れる可能性も大いにあるのです。

そこで今回は、性病の種類や症状、治療法、予防法について解説いたします。

Contents

性病ってどういう病気?

性病(性感染症、STD)は性的な接触によって感染する病気の総称です。セックスだけでなく、オーラルセックスやアナルセックスなどで感染することもあります。

性病は自分が治療しても、治療前に自分が感染させたパートナーから再感染することがあります。これをピンポン感染といいますが、こうなるといつまでも治療の効果が上がりません。

特に性的なサービスを受ける店舗に行ったことなどはなかなかパートナーに話しづらいものですが、治療の効果をあげるためにはパートナーと同時に検査を行う必要があることを知っておいてください。

どんな種類の病気があるの?

一口に性病と言っても症状や特徴はさまざまです。どのようなものがあるのか知っておきましょう。

梅毒

初期の症状は感染箇所に小豆大~指先程度の大きさのしこりができることです。基本的に痛みはありません。しばらく放置しておくと症状が消えます。

しかし梅毒の怖いところはこのように症状が現れたり消えたりすることです。症状がなくなるために「治ったのではないか」「気のせいだったのではないか」と思ってしまい検査や治療が遅れるおそれがあるのです。

しかし病状は確実に進行し手のひらや足の裏に発疹ができたり、肛門・性器周辺にイボができたりします。さらに放置すると腫れものができるなど重症化することも。以前は死に至る病気であり歴史上も多くの死者を出しました。

無症状であったり症状があっても気づかないこともあります。放置すると危険な病気なので、早期発見のために早めの検査を受けることが推奨されます。

クラミジア(性器クラミジア感染症)

クラミジアは日本で非常に多くみられる性病で、無症状や症状が軽いことも多くあります。

症状がある場合は排尿時の痛みや不快感、尿道のかゆみなどが起こります。症状が軽いとしても放置しておくことは絶対にやめましょう。不妊の原因になる場合もあります。

淋病(淋菌感染症)

症状は男性の場合、排尿時に痛みが走ったり、黄色い膿が出ることですが、無症状のこともあります。

症状を自覚しにくいことがあるので注意が必要です。症状がなくても、特定のパートナー以外との性的な接触を行った場合は検査を受けておくことが望ましいと言えるでしょう。

ヘルペス

発熱や性器の痛みがあるほか、性器周辺に水疱のようなものが生じ、ただれたようになって痛みます。ヘルペスは完治が困難な性病で、一度感染してしまうと体内のウイルスを完全に根絶することは現在の医学では不可能です。このため治ったように見えても過労やストレスにより再発を繰り返すことがあります。

治療により症状が出ないように抑えることができるので必ず医師の診察を受け、指示を守るようにしてください。

トリコモナス症

下着やタオルなどから感染することもあるため、性的な接触を行わなくても感染することがあります。感染すると性器周辺の痛みやかゆみなどが生じます。

男性も感染する病気で、尿道炎の症状がみられます。無症状の場合もありますが、無症状だからといって放置していても自然に治ることはありませんし、不妊などの原因になることもあるため必ず治療を受けましょう。

エイズ(後天性免疫不全症候群)

エイズはHIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染することにより発症する病気です。感染すると病気を防ぎ自然治癒させる力(免疫力)が著しく低下し、適切な治療を行わないとさまざまな病気に感染しやすくなって最終的に死に至ることも。

ただし「HIVに感染している」だけではエイズを発症したとはいいません。HIVに感染して免疫力が低下し、ガンジタ症や悪性リンパ腫などを発症した場合、エイズと診断されます。

現在の医学ではウイルスを体内から根絶することはできませんが、治療薬が開発されたことにより、適切な治療を行えば普通に近い生活を送ることができますし、かなり長期間の延命も可能です。

「感染するとすぐに死んでしまう」「感染者と同じお風呂に入ったり手に触れるだけでも感染する」といったイメージを持っている人もいますが、これらは間違った情報。しかし適切な対処を行わないと感染を広げてしまうことがあるため、感染を広げないためにも、治療を適切に行っていくためにも、早期発見が重要です。

性病にならないための予防

性病は感染者との性的な接触により感染します。セックスやオーラルセックス、アナルセックスのほか、口内に梅毒やヘルペスが感染している場合はキスを介して感染することもあります。このためもっとも安全なのは、定期的に検査を行い、性病に感染していないパートナーとだけ性的な接触を行うことです。もっとも現実的なのはコンドームを正しく使用することだといえます。ピルの使用によって性病を予防することはできません。

コンドームの正しい使用法

コンドームは避妊だけでなく、性病を防止するためにも有効です。

使用するときは、開封時などに傷を付けないように注意して扱い、男性器が勃起したらすぐに装着します。妊娠や性病を予防するためには、射精のときだけ装着するのではなく、相手の性器に触れる前に装着することが重要です。表と裏を間違えないように気を付け、先端の空気を抜いて根元までしっかりとつけましょう。

射精後は男性器の根元を押さえて、コンドームが外れたり精液が漏れたりしないように速やかに性器を抜き、処分してください。男性の場合は、予め練習しておくとスムーズにつけることができます。

女性は「コンドームをつけるように言うとパートナーに嫌われてしまうのでは?」と心配する方もいますが、セックスは互いのコミュニケーションですから、ふたりの関係のためにも妊娠を望んでいない場合は必ずコンドームを使いましょう。

どうすれば治る?

多くの性病は適切な治療を受けることで直すことができます。しかし、一部の病気は完治しないため、症状を抑えることが中心になります。もちろん完治した病気であっても再び感染する可能性はありますから、コンドームを正しく使用することなどにより確実に予防を行うことが大切です。また、パートナーが感染していると治療を行ってもお互いに移しあっていつまでも治療の効果が出ないことがあります。検査はパートナーと同時に受けるようにしましょう。

梅毒

抗生物質の服用を中心に治療を行います。梅毒はいったん症状が出たあと症状が消失するため検査・治療が遅れがちです。しかし病気が進行すると治療に時間がかかってしまいます。放置しても基本的に自然治癒することはありませんが、早期に治療を始めれば比較的短期間で完治させることができますから、おかしいなと思ったらすぐに検査を受けるようにしてください。

クラミジア(性器クラミジア感染症)

抗生剤を飲むことで治療を行います。服用期間は症状や薬の種類によっても変わりますが、治癒するまでは2週間程度であることが多いようです。

淋病(淋菌感染症)

抗生物質の注射が広く行われています。耐性化が著しく、治療効果の高い薬剤が少ないため、それを考慮して治療法を選択します。クラミジアと同時に感染していることも多いため、その場合は両方の治療を行うことになります。

ヘルペス(性器ヘルペスウイルス感染症)

内服薬を服用する、軟膏を塗るなどの治療を行います。ただし、ヘルペスは現在の医学では完治させることができません。薬で症状を抑えることはできますが、神経の奥に残っているウイルスを完全に体内から除去することは不可能なのです。医師の指示に従い、あきらめたり投げ出したりせずに必要な治療を続けることが重要です。

トリコモナス症

男女とも、内服薬を飲むことで治療を行うことができます。女性の場合は膣剤もあります。

治療期間は症状や薬により異なりますが、治療中はお酒を控え、医師の指示に従うことが大切です。

エイズ(後天性免疫不全症候群)

エイズの原因であるHIVも現在の医学では一度感染すると体内から除去することができません。このためHIVの増殖を抑える薬剤を内服します。

また、エイズの治療法は対症療法しかなく、発症したら根治治療はできません。

医学の進歩により以前に比べるとだいぶ延命ができるようになりましたが、やはり予防すること、感染してしまった場合は医師の指示にしたがって治療を続けることが重要です。

どこに相談すればいい?

性病は恥ずかしさや、きまりの悪さから相談しづらい病気です。このことから検査・治療が遅れるケースも珍しくありません。

相談先としては保健所と医療機関のどちらかかが考えられます。

医療機関では、保険を使わなければ匿名で検査もできます。

ただし、保健所は、検査を受けられる検査が限られている為、検査を受けること以外は対応していません。

このためすぐに検査を受けたい場合や、近くの保健所で検査を行っていない性病の疑いがある場合は病院に行くのがよいでしょう。

大切なのは予防と早期発見

性病はなんとなく不安に思っていても多くの人には十分な知識がなく、しかも恥ずかしさなどから検査をためらってしまうこともあります。

しかし適切な治療を早期に行えば、多くの性病は完治させることができます。自分を守るためにも、パートナーを守るためにも、早めに検査を受けましょう。

そしてさらに重要なのは感染を予防すること。コンドームを正しく使えるように準備しておきましょう。

 

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