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公開日:2023/10/23
最終更新日:2024/05/21

ホスホジエステラーゼ5型阻害薬(PDE5i)と硝酸薬を併用処方された勃起不全患者における心血管転帰リスク: 米国における電子カルテデータを用いたレトロスペクティブ観察研究

投稿日:2023年10月23日 更新日:

ホスホジエステラーゼ5型阻害薬(PDE5i)と硝酸薬を併用処方された勃起不全患者における心血管転帰リスク: 米国における電子カルテデータを用いたレトロスペクティブ観察研究

ホスホジエステラーゼ5型阻害薬(PDE5i)と硝酸薬を併用処方された勃起不全患者における心血管転帰リスク: 米国における電子カルテデータを用いたレトロスペクティブ観察研究 (原題:Cardiovascular Outcome Risks in Patients with Erectile Dysfunction Co-Prescribed a Phosphodiesterase Type 5 Inhibitor (PDE5i) and a Nitrate: A Retrospective Observational Study Using Electronic Health Record Data in the United States)

Anthony P. Nunes, PhD, John D. Seeger, PharmD, DrPH, Andrew Stewart, MPH, Alankar Gupta, MD, MS, MBA, Thomas McGraw, PhD, MBA, ABMLI 著者ノート

The Journal of Sexual Medicine, 18巻, 9号, 2021年9月, 1511-1523ページ, https://doi.org/10.1016/j.jsxm.2021.06.010

発行:2021年8月10日 記事履歴

Contents

背景

ホスホジエステラーゼ5型阻害薬(PDE5i)は勃起不全(ED)の第一選択薬である。PDE5i投与者の約1~4%は硝酸薬を併用しているが、この併用は臨床的に重大な低血圧を引き起こす可能性がある。このような患者における実際のデータや、処方者が硝酸薬を併用している根拠に関する知見は限られている。

目的

本研究では、PDE5iと硝酸薬の併用が心血管(CV)転帰の増加率と関連するかどうかを検討した。

方法

EDでPDE5i処方の成人男性と硝酸薬処方の成人男性を米国の電子カルテデータベース(2012~2016年)から同定した。EDと共同保有(ED+PDE5i+硝酸薬),硝酸薬のみ保有(ED+硝酸薬と硝酸薬のみ[EDなし]),PDE5iのみ保有(ED+PDE5i)の患者間で定量的比較を行った。

転帰

共同保有期間と比較対象期間におけるCVアウトカムの発生率を定量化し、傾向スコアマッチング後に発生率比を算出した。処方者の根拠は、仮想患者の記録をレビューすることで導き出した。

結果

168,000人以上の患者がPDE5iを1種類以上処方されていた(保有期間約241,000期間);480,000人以上の患者が硝酸薬を1種類以上処方されていた(保有期間約486,000期間);3,167人の患者が3,668期間を共同保有していた。CV転帰率は,ED+硝酸薬投与期間と硝酸薬投与期間のみで有意差はなかった。ほとんどのCV転帰率はED+PDE5i併用期間と併用期間との間で有意差はなかった(心筋梗塞、入院不安定狭心症、失神は併用期間の方が高かった)。同時服用の患者記録の質的評価では、252例中131例(52%)が同時服用に関して医師と話し合ったことを記録しており、131例中69例(53%)が併用禁忌薬の安全な管理について警告または指導していた。

臨床的意義

この実臨床試験から得られた知見から、硝酸薬とPDE5iの処方を同時に所持していても、硝酸薬のみを所持している場合と比較して、CV転帰の割合が増加することはないことが示された。医師は両方の薬剤を併用することのリスクについて患者と話し合うべきであり、またしばしばそうすべきである。

長所と限界

本研究の長所は、米国の実患者コホートの規模が大きく、解析に利用可能なデータがあること、自然言語処理を利用して併用の根拠と患者-医師間の相互作用を探ることができたことである。限界は、分析のレトロスペクティブな性質と、記録された処方が充填されたか、または薬剤が消費されたかを確定できないことである。

結論

PDE5iと硝酸薬の併用は引き続き避けるべきである;しかしながら、PDE5iと硝酸薬の処方の併存は必ずしもCVリスクの増加と関連しない。適切な状況であれば共同所持をうまく管理することが可能である。

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