勃起不全とてんかん: その関連性とは?(原題:Erectile Dysfunction and Epilepsy: What is the Link?)
ロッコ・サルバトーレ・カラブロ医学博士
性医学ジャーナル, 10巻, 2号, 2013年2月, 615-616ページ, https://doi.org/10.1111/j.1743-6109.2012.03002.x
発行:2013年02月01日
勃起不全(ED)とてんかんの相関の可能性を扱ったKellerらの論文を大変興味深く読んだ。実際、著者らのよくデザインされ、実施されたレトロスペクティブな集団ベースの研究において、ED患者は対照群に比べ、以前にてんかんの診断を受けたことのあるリスクが1.83倍高いことがわかった [1] 。
てんかんと性機能障害との関連はしばしば報告されているが、てんかんとEDとの関連を具体的に評価しようとした研究はほとんどない。
実際、EDの有病率に関するコンセンサスは得られておらず、その頻度は、外来患者の3%という低いものから、てんかん手術の評価を受けている患者の58%という高いものまで、特定のてんかん患者内で異なっている [2] 。
さらに、てんかん男性では、一般集団の3~9%と比較して、EDのリスクが57%まで上昇することが判明している。現在までのところ、EDに関連したてんかんの病因は不明であるが、神経学的要因(てんかんのタイプ、発症年齢、発作頻度)、内分泌学的要因(視床下部-下垂体-性腺軸に対するてんかん様活動の影響)、異所性要因(抗てんかん薬、抗うつ薬)、精神医学的要因(不安や抑うつ)、認知的要因、心理社会的要因などが関与している可能性が高い [3] 。
特に、肝酵素を誘導する抗てんかん薬(AED)、すなわちフェノバルビタール、フェニトイン、カルバマゼピンは、生物活性テストステロンを減少させ、性ホルモン代謝を促進し、結合ホルモン蛋白の産生を刺激することにより、性機能障害を引き起こす可能性がある。トピラマート(TPM)、ゾニサミド(ZNS)、プレガバリンなどの新しいAEDは、複雑で解明されていないメカニズムによってEDを引き起こすと考えられている。Calabròらは、TPMの幅広い作用機序を考慮し、TPMによるEDはグルタミン酸作動性経路の阻害に伴うAMPA受容体の遮断による二次的なものであるとの仮説を立てており、グルタミン酸は反射的勃起の神経伝達物質の候補と考えられている[4]。
一方、我々のグループでは、ZNSに関連したEDは、セロトニン作動性経路と硝子体作動性経路の多面的な相互作用の障害による可能性が示唆されている[5]。