心臓移植患者における勃起不全、陰茎動脈硬化症、冠動脈血管症|大日本住友製薬(原題:Erectile Dysfunction, Penile Atherosclerosis, and Coronary Artery Vasculopathy in Heart Transplant Recipients)
The Journal of Sexual Medicine, 第10巻, 第9号, 2013年9月, 2295-2302ページ,https://doi.org/10.1111/jsm.12233
発行日
2013年09月01日
Contents
はじめに
血管性勃起不全(ED)は全身の血管疾患、特に内皮機能不全の発現である。内皮機能障害は冠動脈血管障害(CAV)の発症と進行にも重要な役割を果たしている。
目的
本研究は,心臓移植を受けた男性におけるEDの有病率,病態,およびCAVとの相関を検討することを目的とした。
方法
当センターで評価された男性心臓移植患者(HTx)77名(平均年齢61.6+10.6歳)を本研究に登録した。
主要評価項目
全対象者は、生活習慣(喫煙、食習慣、座位習慣、薬物摂取、心臓移植前の勃起機能)、身体診察(肥満度、動脈圧)、生化学的血液検査(空腹時グルコース、総コレステロール、高比重リポ蛋白コレステロール、トリグリセリド)、ホルモン(プロラクチン、黄体形成ホルモン、総テストステロン)を含む正確な病歴収集を受けた。さらに、陰茎、頸動脈、大腿骨エコー・カラードップラー超音波検査、冠動脈造影検査を行った。
結果
EDの発生率はHTx前には24%であったが、HTx後には65%まで増加した。虚血後心筋症は、EDのない患者(EDなし群)よりもED群でより高頻度にHTxの適応となった(45.1%対20%)。ED患者では、EDでない患者に比べて、収縮期ピーク速度が低く、海綿体内膜中膜厚(IMT)が高く、海綿体プラーク(26.7% vs 5.2%、P<0.05)、末梢血管疾患(60.87% vs 26.1%、P<0.05)、CAV(45.8% vs 25.8%、P<0.05)の有病率が高かった。冠血流予備能は、ED患者対EDでない患者で有意に低下した(2.43+0.7対2.9+0.8、P<0.04)。最後に、海綿体プラークとテストステロン血漿レベルはCAVと統計的に関連していた。
結論
我々は、EDはHTx患者における頻度の高い疾患であり、元の病態が虚血後心筋症である場合にはより一般的であり、海綿体プラークおよびCAVの高い有病率と関連することを示した。EDの評価はHTxリハビリテーションプログラムに不可欠である。